半年ほど前に予約した直木賞受賞の「蜜蜂と遠雷」が貸し出せるという。
急いで借りに言った。
恩田陸は、昔、「夜のピクニック」を読んだ覚えがある。
「蜜蜂と遠雷」は、直木賞ということだけで中身は知らなかった。
表紙をめくると紹介文が載っていた。
ピアノコンクールの話だ。
読み始めたら、ぐっと引きつけられた。
おもしろい!
コンクールに挑戦するキャラクターが個性的で魅力がある。
特に、風間 塵(じん)。
ピアノの音を文章でどう表現するか、中々興味深い。
マンガでは、絵と文字で音楽を表現できる。のだめカンタービレやブルージャイアント、ましろの音など。
小説は言葉だけで音楽を表現する。
例えば、風間 塵の演奏。
それまでどんより弛緩していた空気が、その音を境として劇的に覚醒したのだ。
違う。音が。全く違う。
三重子は、彼が弾き始めたモーツァルトが、今日これまでにさんざん聞かされたのと同じ曲だということに気付かなかった。同じピアノを使っているのに。同じ譜面を使っているのに。(略)
ステージが明るかった。
少年がピアノと触れあっている(としか思えなかった)ところだけがほっこりと明るく、しかも何か極彩色のキラキラしたものがそこからうねって流れ出してくるように見えるのだ。(略)
コンクールは一次予選から三次予選まであり、最後に6人だけが本選で演奏できる。ということは決勝進出者は4回演奏するということで、その中にモーツアルトやベートーベン、バッハ、ショパン、その他色々な作曲家の名曲が出てくる。その曲が色々な言葉で表現されていて、実際に演奏を聴きたくなってくるのだ。
ところで、本の題名。「蜜蜂と遠雷」の蜜蜂は、風間 塵が養蜂をしている家の子だから。
では、遠雷の意味は何だろう?
色々考えて、次の結論に至った。
それは、風間 塵をコンクールに推薦した、塵のピアノの先生、ホフマンの推薦状が基になっているのではないか?
ホフマンの推薦状
「皆さんにカザマ ジンをお贈りする。文字通り彼は『ギフト』である。」
この推薦状は、遠くで響く雷のように審査員の心に響き、初めは理解しなかった審査員を、いつの間にか、カザマ ジンの演奏に引き込こんでいくということではないか。
PS 「蜜蜂と遠雷」が、今年の本屋大賞に選ばれた!
京都府舞鶴市の中筋小学校体育館を中心に活動している中筋Jrバレーボールクラブです。なかなか勝てない弱小チームですが、何とか市内でベスト4に入れるように頑張っています。